大切な家族が亡くなったとき、火葬や葬儀が終わった後に直面するのがご遺骨の埋葬方法についてです。
従来はお墓に埋葬するのが一般的で、現在も多くの家庭がお墓をもっていることでしょう。
しかし、時代の変化とともに最近では納骨堂へ収蔵するケースも増えてきています。
そもそも納骨堂とお墓は何が違うのか、よく分からないという人も多いため、今回の記事では両者の違いについて詳しく解説していきましょう。
納骨堂とお墓の違いとその役割
納骨堂とお墓の違いを一言で表すとすれば、「ご遺骨を収蔵しておく場所が異なる」
ということが挙げられます。
そもそも納骨堂とは、本来はお墓にご遺骨を埋葬するまで一時的に収蔵しておくための場所として生まれたのですが、最近では一時的なものではなくお墓の代わりとして永代にわたって保管しておくことができる施設も増えてきています。
一方でお墓は、墓地に一家の墓石を建て、先祖代々の家族のご遺骨を収蔵する役割を果たしています。さらに分かりやすくいえば、墓石の有無、もしくはご遺骨を収蔵する場所が屋内か屋外によって分かれていると言っても過言ではありません。
従来の日本では大きな家に3世代、4世代にわたって家族が住み続けるケースが一般的でしたが、地方から都市部への人口流入が相次ぎ家族のあり方やライフスタイルが大きく変化してきました。
それとともに、墓地を管理する人も少なくなり、ご遺骨を墓地から納骨堂へ移して収蔵する家庭も増えてきているのです。
一般的には墓地のスペースを確保できない場合や、都市部に住んでいる人ほど納骨堂のニーズが高く、地方で先祖代々の墓地がある場合はお墓に埋葬するケースが多い傾向にあります。
このように、納骨堂とお墓はご遺骨を収蔵したり埋葬したりするという共通の役割があり、住宅事情や経済的な問題などからそれぞれにマッチする方法が選ばれているのです。
納骨堂はこんな人におすすめ
納骨堂とお墓の違いが分かったところで、実際に納骨堂はどのような場合に向いているのか具体的に例を挙げながら紹介していきましょう。
まず、納骨堂をおすすめしたい人の典型的な事例として挙げられるのは、墓地を確保できない場合です。
特に都市部では人口が密集し、墓地を建てる場所にも限りがあるケースがほとんどです。
寺院などで墓地を見つけたとしても、都心から遠く離れた郊外の場合も多く、お墓参りのたびに遠出を強いられてしまいます。
しかし、都心部の納骨堂であれば自宅から近い場所にご遺骨を収蔵でき、お墓参りのたびに遠出を強いられる心配もありません。
また、日々の供養も納骨堂を運営している団体や寺院が責任をもって行ってくれるほか、お墓のようにこまめな手入れを行う必要もありません。
日々の仕事に忙しく、お盆やお彼岸以外にお墓の手入れや参拝ができない人に最適といえるでしょう。
また、納骨堂はお墓を建てるよりも圧倒的に費用が安く、経済的な問題を抱えている人にとってもメリットがあります。
特に都心部にお墓を建てるとなると数百万円単位の莫大な費用がかかることも多いです。
しかし、納骨堂であれば施設によっても多少異なるものの、ほとんどが100万円以下で永代供養をお願いできます。
将来的に資金に余裕ができたらお墓にご遺骨を移すことも可能なため、とりあえず納骨堂に依頼すると安心ではないでしょうか。
お墓はこんな人におすすめ
地元で先祖代々のお墓がすでに存在しているのであれば、納骨堂ではなくお墓にご遺骨を埋葬するのがおすすめです。
新たに墓石を建てる必要もないためコストが安く済むほか、親戚や家族からの同意も得られやすいでしょう。
なかには納骨堂にご遺骨を預けること自体に反対する人も多く、特段の事情がない限りはお墓に埋葬するのが無難な選択肢といえます。
故人の友人や親戚など、家族以外の人でも気軽にお墓参りができるほか、墓石に向かって手を合わせるという行為自体にも価値があるものです。
大切な家族を身近に感じていたい、故人を偲ぶ心を何よりも大切にしたいという人にとって、お墓の存在は心の拠り所にもなるはずです。
納骨堂に比べてお墓は管理の手間もかかり、寺院や霊園によっては管理料がかかるケースもあります。
しかし、物理的なメリットではなく、心理的な安心感や故人への想いを形にしておきたいという人には納骨堂よりもお墓のほうが適しているかもしれません。
事情に合わせて最適な選択を考えよう
今回紹介してきたように、納骨堂もお墓も根本的な役割は同じであるものの、生活スタイルや住宅事情、そして人それぞれの価値観によっても選択肢は変わってくるはずです。
一概にどちらが良い・悪いと判断できるものではなく、中にはやむを得ず選択しなければならないこともあるでしょう。
しかし、どちらの方法をとったとしても、何よりも大切なのは家族を思う気持ちです。場合によっては生前、ご遺骨の埋葬方法について希望を伝えていることもあるかもしれません。故人の想いを尊重しながら、最適な方法を検討してみてください。